甲状腺の不調に気づくサイン
甲状腺は、首の前側、気管のすぐ下に位置する蝶形の小さな器官です。甲状腺ホルモンを分泌し、これが体の代謝や成長、体温調節など、多岐にわたる生理機能に影響を与えます。甲状腺の機能に異常が生じると、体にさまざまな影響が現れます。
甲状腺機能亢進症の症状
- 体重の減少(食欲があるにも関わらず)
- 心拍数の増加、動悸
- 過度の汗をかく
- 不安、イライラ、手の震え
- 目の充血や突出(バセドウ病の場合)
甲状腺機能低下症の症状
- 疲労感、だるさ
- 乾燥肌、髪の薄毛や抜け毛
- 集中力の低下、記憶力の障害
- 便秘
- 寒がり
- 月経不順(女性の場合)
甲状腺の腫れ(甲状腺腫)
甲状腺が腫れることで、首の前面に腫れやしこりが見られることがあります。これは、甲状腺腫と呼ばれ、必ずしも甲状腺機能障害を意味するわけではありませんが、注意が必要です。
上記の症状が見られる場合は、甲状腺の病気を疑う可能性があります。ただし、これらの症状は他の病気でも見られることがあるため、正確な診断と適切な治療のためには、まずは受診することをお勧めします。
甲状腺の治療
橋本病
慢性甲状腺炎とも呼ばれていて、自己免疫の異常により自分の細胞を攻撃する抗体ができ、甲状腺を破壊して慢性的に甲状腺に炎症をおこし、甲状腺機能が低下してしまう病気です。症状としては甲状腺が大きく腫れてきますが、甲状腺機能低下がなければ自覚的な症状は特にありません。機能低下してきた場合に無気力、疲労感、寒がり、浮腫みなどの症状が認められます。
治療は不足しているホルモンの補充です。甲状腺ホルモン薬を内服します。自覚症状は1-2か月程度で改善してきます。
バセドウ病
バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に作られる病気です。症状としては、甲状腺腫大、眼球突出(甲状腺眼症)、頻脈、発汗過多、体重減少、手の震えなどがみられます。
治療法としては、当院では定期的に血液検査で甲状腺ホルモンの量を測定し、甲状腺ホルモンの合成を抑える薬を服用することで、血液中の甲状腺ホルモンの濃度を正常化します。
薬で甲状腺刺激ホルモンの量を調整することで普通の人と変わらない生活を営むことができます。甲状腺刺激抗体が消え、ホルモンが正常化したのを確認し服薬を中止します。
甲状腺の病気は再発しやすいので、慎重に経過を観察する必要があります。
甲状腺腫瘍
甲状腺腫が良性であり、症状が軽度である場合、定期的な検査やエコー検査を通じて、腫れの状態や成長の有無を確認し、必要に応じて治療方針を変更します。
当クリニックの特色
専門的な診察
甲状腺疾患の豊富な臨床経験を持つ医師が、細やかな問診と丁寧な診察を行います。甲状腺の大きさや形、硬さ、動きなどを評価するために、触診をすることがあります。
採血・超音波検査
患者様のプライバシーを尊重し、快適な検査環境を提供します。問診・検査は女性検査技師が担当します。
チーム医療
医師、検査技師、看護師など、多職種が連携し、一人ひとりの患者様に最適な医療を提供します。